緑信号を渡る - どこのドイツだ!

在独歴4約年!思想の飴細工師が書き下ろす!

ドイツ人のジョーク3つ

以前の記事「ドイツ語会話盗聴ー3つの場面ー」でも書いたが、今回はドイツ人のジョークに焦点を当てたい。どうやら、ドイツ人は真面目でユーモアのセンスが無いと思われているらしい。そんなユーモアが無いドイツ人に対して、英国紳士が放つ辛辣なジョークがある。

 

この世の中で最も薄い本は何か。

ーそれは、ドイツ人のジョークを集めた本である。

 

 

しかし、ドイツ人自身がこのジョークを言うので、イギリスで本当にこのような事が言われているのかは、しりぼうには分からない。むしろ、実生活を通してみれば、全く逆で、ユーモアたっぷりのドイツ人独特のジョークをしばしば耳にするー理解できるかは別の話だが。

 

今回は、私しりぼうが思わずクスッとしたいかにもドイツ人らしいジョークを紹介する。これが理解できれば、あなたはドイツ人のユーモア感覚をすでに持っていることになる。

 

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 1.私の政府

 

場面:私の同僚の会話。同僚A宛に電話がかかってきたが、既にAは別の電話に出ていたため、別の同僚Bが代わりに電話を取った。

 

A:それでは、良い一日を。(受話器をガチャリ)

B:お、A。さっきあなた宛てに電話があったぞ。

A:ん?誰からだ?

B:あなたの奥さんからだった。

A:あぁ、私の政府からか。

 

補足:まず、妻の絶対的な権力の象徴として「政府」という表現をしていること。次に、政府はドイツ語でdie Regierungと言い、女性名詞であること。この二つが絶妙に組み合わさり、彼の言葉選びに感動さえする。こういうユーモアに溢れた人間になりたいものである。

 

 

2.ガラクタ

 

場面:同僚Aとしりぼうの会話。その日は、30℃超えの猛暑で、クーラーがない事務所はまさに地獄であった。同僚Aは、Tシャツ、ハーフパンツ、サンダルで出社していたが、さらにその後サンダルを脱いで、裸足で事務所をうろついていた。

 

しり:暑いね。あら、裸足になったんだね。

A:あぁ、裸足だな。いいだろう?

しり:じゃあ、まるで家のように感じるかい?

A:いや、家のようには感じないね。ここにはガラクタがないからさ。

同僚全員:(大爆笑)

 

補足:家のように感じるだろう?の質問に対して、「そうだね」を期待してはいけない。そんな返し方は当たり前過ぎるからだ。ドイツ語でガラクタを意味する「Klamotten」が持つ滑稽な響きと誰もが予想しなかった答え方に、面白さが生まれるのだ。ユーモアの重要な要素の一つは、意外性である。

 

 

3.忙しいからね。

 

場面:しりぼうとドイツ人妻との会話である。しりぼうはドイツ語のことわざを勉強していた。暗唱をするために、ぶつぶつと独り言をつぶやいていた。

 

しり:「吠える犬は噛みつかぬ」か。そんな諺、日本語にもあったな。

妻:そうね。吠える犬は、吠えるのに忙しいからね。

 

補足:「吠える犬は、吠えるのに忙しい=噛みつくための暇がない⇒だから、吠える犬は噛みつかない」の意味である。現実は本当かどうかは別として、非常に論理的ではある。いかにも、ヨーロッパ仕込みの組み立て方だなと思う。

 

論理的でありながらも当意即妙にこのような切り替えしができる妻に脱帽する。「私の政府はユーモアも作っている」とでも言えばよいか。

 

さて、先ほどにも述べたが、私しりぼうは、まさかそのような切り替えしを予期していなかった。その後、しりぼうは数十秒間笑い続けた。

 

 

日本語に訳をしても何の変哲もない、面白みのない文章であるということは理解している。しかし、冒頭でも述べたように、この面白みが分かればかなりドイツ人のユーモアを知っていることになる。この面白味を少しでも共有できれば幸いである。

 

ちなみに自分の妻を「政府」とするのであれば、我が家の政治形態は何か。民主政治?共産政治?軍事政治?

 

いや、独裁政治である。ドイツ人の妻、独妻なだけに。