緑信号を渡る - どこのドイツだ!

在独歴4約年!思想の飴細工師が書き下ろす!

私の学歴 ~第六章:克服~

(私の学歴の続きである。第六章)

遂に手術日はやって来た。

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病室で時を待っていると、いよいよ、車輪付きのタンカが運ばれてきた。そこに我が身を横たえ、手術室へ向かった。

 

手術室到着し、辺りを見回すやいな「ドラマで見たことのあるシーンそのままですね。」と余裕をかましていたのはよく覚えている。

 

しかし、全身麻酔が入ってからは、全く記憶にない。次に目が覚めたのは、手術室に運ばれてから2時間後の事であった。起きた時の事は忘れもしない。

 

とにかく激痛であった。胸が痛すぎる。もちろん、メスを入れたことによる傷口の痛みはあった。しかし、それよりも、胸膜に散布させた薬剤による炎症の方が遥かに苦しかった。息をするのもしんどかった。

 

とにかく呼吸をする事だけで、肺全体にとてつもない筆舌に尽くし難い痛みを伴うのだ。

 

何が大変かと言えば、呼吸は止めることなどできない事である。生きるためには息をせねばならない。生きと息が同音異義語であるのは偶然ではないだろう。


こんな当然と思われている、普段意識さえすることのない自然行為を、する毎度激痛に襲われ、永遠に繰り返さないといけないとしたら、どれだけの苦しみが他にあろうか。大袈裟かもしれないが、いっそ呼吸を止めて死んだ方が楽ではないかと思ったぐらいだ。

 

しかし、ともかく手術自体は終わったのだ。それは、自然気胸という病を制したという意味だ。長かった。夏の発病から3ヶ月以上が経ち、遂に終止符を打つ事が出来た。

 

たかが3ヶ月間、長い大学生活全体、あるいは人生から見れば、余りにも短い闘病期間だ。しかし、受験生であればどれだけこの3ヶ月間が重要な日数であるかは、一度でも真剣に試験勉強をしたものなら、理解出来よう。

 

ようやく、受験勉強に戻るのだ。時は、既に11月の下旬すでに冷たい北風が吹く季節となった。新たな決意を持って、遂に退院をした。

 

それでも、傷口はまだまだ痛む。しかし、病という最大の障害を乗り越えたしりぼうは、希望とやる気に満ちていた。

 

絶対に今の大学から脱出してみせる。

 

病院を出た時の寒空は澄み渡り、大きく深呼吸をした。生きる。健康に生きている事それだけで、幸福である。そして、次なる幸福とは、大学を脱出し、自分の勉強したい大学で勉強をすることである。

 

病を克服した新生しりぼうは、新たな決意を固める!

 

それは、志望校の変更である!!