緑信号を渡る - どこのドイツだ!

在独歴4約年!思想の飴細工師が書き下ろす!

ドイツ人誕生日3つの特徴ー職場編ー

ドイツでは、誕生日は年間行事の中でも、とりわけ重要な日だと見なされている。少なくとも日本と比べてだ。
 
今回は誕生日の過ごし方である。しかし、いかに盛大に祝うのか、プレゼントは、どのように渡すのかというプライベート上の話ではない。
 
ここでは、しりぼうだから書ける(と思われる)、職場ではどのようなやり取りがなされるのか、自身の経験から紹介したい。あくまでも、すべてのドイツの会社で一般化できる話ではないことを予め断っておく。
 
少しでも異文化での生活を想像する助けになれば幸いである。

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1.ケーキを持って来る

誕生日当日もしくは誕生日があった後、最初の出社日※1に、ケーキなどのお菓子を事務所に持ってくる。
 
意図的に主語を割愛したが、ポイントは、誕生日がある/あった人間が、ケーキを持参する。祝う人間ではなく祝われる人間が自ら持ってくる。
 
私しりぼうは、以前どいつで、ほとんど日本人従業員しかいない職場で働いていた。確かに、そこでも、同僚の誕生日を祝う習慣があった。しかし、状況は逆で、誕生日を迎える人以外の従業員が、「本人に見つからないように」メッセージや小さなプレゼントを準備していた。
 
しかし、ドイツ人の職場ー少なくとも今の会社ーでは、誕生日を迎えた人がケーキなどを用意するのが通常である。
 
今の会社で働き始めて初めての年は、なんだか、気恥ずかしくてケーキなど持ってくることはなかった。しかし、次の年からは、誕生日当日もしくは誕生日が明けて初めて出社するときにケーキを持ってくるようになった。
 
ある程度、しりぼうのドイツ人化が進んだということかもしれない。
 
あと、道を歩いていたり、電車の中でもこんな形のケーキ容器を運んでいるのをしばしば見かける。その時、「あ、この人は誕生日かな?」と妄想をしたりするのである。
 
 
2.挨拶
では、誕生日当日もしくは誕生日明けの最初日はどのようなことをするのだろうか。
 
自分の席に座っていると、次々に同僚がやって来る。そして、「盛大に祝ったのか?プレゼントは何?(男性であれば)何歳になった?」などのスモールトークを交えて、「誕生日おめでとう」と言われる。
 
その際に相手が、男性であれば握手、女性であれば、ハグをして誕生の挨拶を行う。
 
はっきり言って、まだ、慣れない(笑)
 
が、特別に祝われることは悪い気はしないし、慣れないだけで、素晴らしい習慣だとしりぼうは思う。
 
極めつけは、別の遠い事務所にいる上司から「しりぼう!週末は誕生日だったんだよね。誕生日おめでとう!」とわざわざ電話をしてきたのは驚きであった。
 
ちなみに、 ドイツの一般常識であるが、誕生日に「誕生日おめでとう」は縁起が悪いので絶対に言ってはいけない。 自分もしたことがあるが、日本では誕生日当日には会うことができない場合、予め「誕生日おめでとう」を言ったりするが、ドイツではご法度である。数日後で、メールでもいいので、必ず誕生日のに「おめでとう」を送ること。
 
では、ちなみに、誕生日前には何を言うべきなのであろうか。その場合、「誕生日を楽しんで」や「素晴らしいお祝いを」などの表現があり、祝福する表現でなければ問題ない。
 
 
3.誕生日カレンダー
しりぼうの会社は従業員総勢20~30人くらいの中小企業である。それでも、全員の誕生日を覚えておくことは、困難である。
 
それゆえ、「誕生日カレンダー」なるものがある。形式は種々様々であろう。
 
例えば、従業員それぞれの誕生日をExcelで表でまとめる。あるいは、Wordにただ誕生日を羅列して印刷しておき、壁に貼っておく。もしくは、単にカレンダーへ直接誕生日を書き込むなどあるだろう。
 
形式は重要ではない。重要なのは中身である。
 
ドイツではプライベートでこのような「誕生日カレンダー」もしくは「誕生日手帳」を持つことはありふれたことである。
 
家族はもちろんのこと、親戚、親しい友人の誕生日をあらかじめ記入しておき、近々で次の誕生日は誰かを定期的に確認する。誕生日当日や後日、誕生カード送ったり電話をするために使うのである。
 
しかし、実際のところ、このような「誕生日カレンダー」や「誕生日手帳」を持つ人はかなり今日、少なくなってきている。デジタル化のおかげで、わざわざ紙に記したりする必要はあまりない。
 
例えば、ソーシャルメディアを使っていれば、「友人」の誕生日情報が勝手に送られてきさえする。わざわざ覚えておく必要さえあまりない。このような誕生日カレンダーは、「かつて」は、当たり前であったというのが正しい表現であろう。
 
今やインターネットを使わない人や高齢者ぐらいしかこのような「誕生日カレンダー」や「誕生日手帳」を持っていないのではないだろうか。
 
確かに、実際にしりぼうの義理の祖母も持っている。ただ、昨年からスマートフォンを購入し、Whats Appを使いこなすなどかなりデジタル化されたので、現在も誕生日カレンダーを使っているかは明らかではない。
 
ちなみに当日誕生日である人をドイツ語で「das Geburtstagskind(直訳:誕生日の子供)」と呼び、誕生日パーティーで興奮した子供のように、「わがまま」に振る舞うことを許されるのである。
 
面白いのは大人に対しても、この表現が使える点である。
 
しかし、いくらGeburtstagskind(誕生日の子供)であるからと言って、職場で「わがまま」が許されるかは、はなはだ疑問ではあるが。
 
 
※1:例えば、誕生日が週末にあった場合やそもそも誕生日を休暇にする場合もある。